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『テヘランのすてきな女』 金井真紀 26-25-3784

Tehran

テヘランのすてきな女

金井真紀(かない まき)文と絵

晶文社

 テヘランはイラン・イスラム共和国の首都です。真紀さんは、ここで様々な生き方をしている女性たちを取材していきます。そして、日本では到底考えられないような話の数々に驚き、その中でたくましく生きている女性たちに感動しています。

 2022年に起きた「反スカーフ運動」、イランの女性たちは「女性、命、自由」の運動と呼んでいるのだそうです。女性たちが不自由なのは服装だけではなく、書くこと、話すこと、考えること、すべてに自由がありません。髪を隠すスカーフ(ヒジャブ)はそのシンボルなのです。この運動以降、スカーフをしない人もいるし、スカーフは被っているけど後ろ髪を見せていたリする女性はかなり増えたそうです。

 あの「反スカーフ運動」の原因は、風紀警察が取調べをした女性の不審死からでした。いまでも町角には風紀警察がいて「ちゃんとスカーフをしなさい」と声を掛けてくるのだそうです。でも、女性たちは聞こえていないふりをして通り過ぎていきます。それができるくらいの自由度は上がったのです。

 100m走が国で一番早かったという女性、10歳くらいまでは男の子のふりをしてサッカーをしていたという女性、イランにだってスポーツ好きな女性は大勢います。でも、父親や夫に反対されたらスポーツを続けることはできません。近年はかなりスポーツが許されるようになってきましたが、男性コーチしかいないような競技の場合、指導するにも苦労があるそうです。(例:ボート競技の場合、女性選手と男性コーチが同じボートに乗ることができない)

 イラン女子サッカーの世界ランキングは71位、FIFAに登録している約200か国の中で、かなり健闘しています。でも試合中だってスカーフと長袖長ズボンを着用しなければなりません。それでも、サッカーができるだけ幸せだと選手たちは言っています。そしてアニメの「キャプテン翼」をみんな見ていたそうです。

 そして、著者の真紀さんが一番楽しそうだったのは「女子相撲」の人たちとの交流でした。イランで相撲?って思うでしょ。意外と人気があるんですよ。ウェイトリフティングや柔道経験者もいて、かなりレベルは高いようです。でもね、誰も四股を踏んだことがなかったのにはビックリ! 真紀さんの四股に驚いたんだろうなぁ。

 

 イランは、女性にとって生きにくい国である以上に、LGBTQの人にとってはもっと大変な国なのです。

「手術はどこで受けるんですか」と尋ねたら「イランで受けます。この国は世界一、性転換手術が多いんですよ」と返ってきて驚いた。その理由を聞いてさらにたまげた。
「同性愛は死刑だから、好きな人と一緒にいたい場合は手術するしかない」
な、なんと。イランでは同性どうしでおつきあいするのは非常に危ないので、外見的な性および戸籍上の性を変更せざるをえない。そのせいで性別適合手術が盛んなのだという。


イランでは、ゲイであることがバレると1回目で死刑になる。レズビアンの場合は見つかっても3回目までは鞭打ち刑、4回目で死刑になる。

 この話をしてくれたキヤは、日本に留学したことがあって、「あの時は楽だった!好きな服を着られるし」と語っていました。こういう人たちにとって、最終的な決断は「外国へ行って自由に暮らすこと」しかないのかなと思うと、宗教の重さを感じてしまいました。

 

 やっと自由度が上がってきたイランなのに、トランプがまた圧力をかけています。そんなに石油が欲しいのか! 私利私欲で人の国に介入するな! 

 テヘランのすてきな女たちを泣かすようなことをするな! と心から思うのです。

3784冊目(今年25冊目)

早川洋平のLife Update #271 自由ってなんだろう?金井真紀さん(文筆家・イラストレーター)

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