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『私労働小説 負債の重力にあらがって』 ブレイディみかこ 26-8-3767

Siroudoushousetu

私労働小説

負債の重力にあらがって

ブレイディみかこ

KADOKAWA

 占いが得意なママの店、英国のスーパーとアジアンレストラン、アイルランドの一般家庭の掃除とディスカウントストア、焦げ付いたローンの回収をする会社。きっと、みかこさんの経験が反映された話だと思うのだけど、こういう想いをしながら働いたことがある、あるいは、今そんな思いで働いている人が大勢いるだろうなぁ。面接では「誰にでもできる」みたいなことを言われるんだけど、実はそうじゃない。技術的にどうのこうのというより、精神的に耐えられるかが問題なんだよねぇ。

 その職場ではそれが普通とされているけれど、「よそでは違うよ」って言えないとか。ホントのことを言っちゃいけないのはわかっているけど言っちゃってクビになったとか。結局は、上司や雇い主の身勝手さに耐えられるのか? その気持ちを共有できる仲間がいるか? そこだよね。

 

 この6篇が収められています。

・ママの呪縛
・失われたセキュリティーを求めて
・アジアン・レストランの舞台裏
・ある見習い掃除人の手引き書
・店長はサクセスお化け
・督促ガールの手記

 「催促ガールの手記」を読みながら、昔、電話でのサポート業務をしていたときに、電話の向うの身勝手さに、自分でも笑っちゃうくらい慇懃無礼に相手をしたことを思い出しちゃった。わたしだけじゃなく、同僚たちもそうだった。急に口調が丁寧になってくると、「ああ、イヤな奴に当たったな」と、周りも感じてしまう。電話が終わった瞬間に、ヘッドセットを投げる。マウスを投げる。備品を壊しちゃいけないのでぬいぐるみを机の下で投げてる人もいた。わたしの目の前の同僚が、客の言葉に怒って仁王立ちして電話してたのも、忘れられない思い出だし。この話にも出て来たけど「女だと思ってなめてるのよ!」ということは何度もあったなぁ。最初はどうしようって思ったけど、少しずつ慣れていくんだ。そして、少しずつ強くなっていく。強くなれない人は消えていく。そういう世界だった。

 どんな職場であろうと、人はいろんな目にあって、いろんなことを考えて、働き続けていく。ずっと続けられることもあるし、自分からやめることもあるし、クビになることだってある。そうしたら、また新しい仕事を探す。人生はその繰り返しなんだよ。

3767冊目(今年8冊目)

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