『スタイルズ荘の怪事件』 アガサ・クリスティー 26-16-3775
スタイルズ荘の怪事件
The Mysterious Affair at Styles
アガサ・クリスティー
Agatha Christie
矢澤聖子(やざわ せいこ)訳
ハヤカワ文庫 クリスティー文庫1
英国 1920
昨年の早川書房創立80周年記念フェア『ハヤカワ文庫の80冊』で、クリスティにすっかり魅了されてしまい、彼女の作品を最初から読んでみようという気持ちになりました。この作品は、1920年に発表された、クリスティの最初の作品であり、名探偵エルキュール・ポアロが初登場する作品でもあります。
ヘイスティングス大尉は傷病兵として英国へ戻ってきていました。1ヶ月の疾病休暇をどう過ごそうかと思っていたところに、旧友であるジョン・カヴェンディッシュから、彼の住むスタイルズ荘へ招かれたのです。この屋敷の主、エミリー・インブルソープはジョンとローレンス兄弟の義母です。最近までは仲良く暮らしていたのですが、最近アルフレッドという若い男と再婚してしまい、親子関係が微妙な感じになっていました。
そこで事件が起きたのです。エミリーが急死し、どうやら毒殺らしいというのです。
エミリーは、英国へ亡命してきたベルギー人たちを援助しており、屋敷のそばにあるリースとウェイズ・コテージという所に住まわせていました。そこに、旧友であるエルキュール・ポアロがいるという事を知り、ヘイスティングスは事件の捜査を依頼したのです。
エミリーは死ぬ数日前に遺言書を書き換えていたらしいという話があったり、様々な憶測が飛び交う中、ポアロは淡々と捜査をしていきますが、ヘイスティングスにはポアロが何を考えているのかがちっともわかりません。同じものを見て、同じ話を聞いているはずなのに。
ポアロの話術は見事です。相手に対して常に「あなたに敬意を払っています」という態度で接するので、相手がついつい本当のことをしゃべってしまいます。そして、質問に対する言葉だけでなく表情や微妙な指の震えなどを実によく観察しています。それが捜査の大事なポイントなのに、それがちっともわからず、ポアロは何も教えてくれないと苛立つヘイスティングスのいら立ちが、妙に面白いのです。
この第一作を書いたころ、小柄な卵型の頭をしたおじさんが、この後ずっと活躍し続けていくなんて、クリスティ自身想像していなかったでしょうね。それは、ホームズのような気難しいタイプではなく、細やかな気遣いができるベルギー人のポアロだからこそなのだと、この第一作を読んで感じました。
3775冊目(今年16冊目)
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