『大相撲名伯楽の極意』 九代伊勢ケ濱正也 26-10-3769
現役時のしこ名は「旭富士」。1993年に最初に親方になったときは「安治川親方」、2007年に明晰変更して「伊勢ヶ濱親方」になりました。2013年に照ノ富士がいた「間垣部屋」、2015年に「朝日山部屋」を吸収合併し、2024年に「宮城野部屋」の力士を預かることとなり、この本が出版された時点(2025年7月)で力士数38名、行事や呼出し、床山など10名を抱えています。
部屋に弟子入りするのは、親方がスカウトする場合もあるし、相撲関係者からの紹介でという場合もあります。伊勢ケ浜部屋は稽古がきついので有名です。でも、昔のように「親方の言うことは絶対」という指導方法はしていないのです。相撲経験がゼロの子が入ってくる場合もあれば、大学相撲で活躍していた子もいます。ひとりひとり、できることも違っているし、考え方も違っています。それぞれをキチンと見て指導していくのが親方の役目だとおっしゃっています。
誰だって、最初は初心者なのだから、できないことを叱るのはおかしいだろう。その子がわかるように教えること、それに尽きるとおっしゃいます。才能はあるけれど稽古嫌いだったり、教わった通りにできなかったり、真面目過ぎて煮詰まってしまったり、性格の違いも見極めなければいけないとおっしゃいます。
「日馬富士」「照ノ富士」という2人の横綱を育て、現在6名の関取が在籍するとういうだけでもすごいのに、伊勢ヶ濱部屋から独立した安治川親方(安美錦)の下で育った安青錦が2026年初場所から大関となり、親方がこの本の中で何度も語られていた「チーム伊勢ヶ濱」の勢いはすさまじいものがあります。
でも親方は、相撲界のことを憂いています。もっと稽古すれば強くなれるのにという子がいたり、ケガなどで無理できない状態なのに無理を強いられてしまう子がいたり、そもそも相撲取りになろうとする子が減っているのも現実です。
力士を育てることも大事だけど、辞めてしまう子の方が圧倒的に多いのが現実です。その子たちの就職を紹介することも、親方の大事な仕事だとおっしゃいます。そこまできちんと考えている方だからこそ、多くの人に慕われているのでしょう。
この本には書かれていませんでしたが、「旭富士」の名を継ぐ子が現れました。今場所(2026年1月場所)は序の口のこの子も、あっという間に上にやってきそうです。当分、伊勢ヶ濱部屋から目を離せそうにありません。
3769冊目(今年10冊目)
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