『新編 日本の面影 Ⅰ』 ラフカディオ・ハーン 26-38-3797
日本人は驚くほど健脚家で、疲れ知らずの旅人だ。彼らは神仏のために巡礼しているというより、むしろ見たこともない美しいものを求めて、自らの楽しみのために旅をしているのではないだろうか。どの寺も美術館のようなものだし、国中の山や谷には、かならずやそういった寺があり、人目を惹きつけてやまぬものが存在している。P97
日本に憧れて、ついにやってくることができたハーンは、日本の美しさに魅了されます。山も、海も、鳥も、虫も、そして人も、空気も、すべてが彼にとっての理想郷と感じたのです。
彼にとって何より幸運だったのは、松江の師範学校の英語教師という仕事を得られたことでした。外国人として初めて出雲大社(杵築大社)を参拝できたのは、「古事記」を愛読していた彼にとって、何よりの幸せだったのでしょう。
この師範学校は県立校である。生徒たちは試験を受け、品行方正を保証する内申書によって入学を許可されるが、もちろん、その数は限られている。生徒たちは月謝、寄宿費、さらに書籍代や学用品から衣服に至るまで免除される。国費によって寄宿代、衣服代、食費が賄われる代わりに、卒業後は五年間、教師として国に奉仕することが課せられている。
しかし、生徒たちは入学したからといって、卒業が保証されているわけではない。毎年三、四回の試験があり、平均してある程度の成績をとれなかった者は、いかに品行方正で勉強態度が熱心で会っても、退学しなければならない。P274
当時の日本は教育に力を入れようとしていました。そのためには教師を養成する必要があります。師範学校の隣には小学校と中学校も併設されています。小学校の音楽の授業で子どもたちが歌う「蛍の光」のメロディー(スコットランド民謡)を聞いて、ハーンの心が揺さぶられたという文章に、彼にも子どもの頃の楽しい思い出があったのだなと気づきました。
毎日学校の務めから帰ってくると、まず教師用の制服からずっと着心地の良い和装に着替える。そして、庭に面した縁側の日陰にしゃがみこむ。こうした素朴な楽しみが、五時間の授業を終えた一日の疲れを癒してくれる。
旅の途中でも、旅館の浴衣が好きだといっていたし、ハーンは着物が好きだったんですね。あらゆる意味で日本を愛したハーンが、日本がどんどん西洋化してつまらない景色になっていくのは嫌だと言っているところが、とても印象的でした。
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