『蜂蜜パイ』 村上春樹 26-46-3805
表紙の熊のまさきちと目が合い、鮭を抱えた彼の人懐っこい目が、わたしを呼んでくれた。
淳平は、友人の小夜子の娘である沙羅に、熊のまさきちのお話をしている。まさきちは蜂蜜を集めるのが得意な熊なんだ。
淳平は短編小説が得意な作家で、長編も書きませんかと編集者によく言われるのだけど、そっちは上手く書けない。幼い沙羅に「お話して」と言われる分には、意外とスラスラとお話が作れる。
小夜子は、沙羅の父だった高槻とは離婚していて、沙羅と二人暮らしをしている。この物語は、阪神・淡路大震災の少し後の話で、沙羅はそのときのショックのせいか、夜中に怖いおじさんがやってくると訴えるようになっていて、どうにも寝付けなくなると、淳平が呼ばれる。そして、熊のまさきちの話をする。
久し振りに読んだ村上春樹は、やっぱり乾いた臭いがする。「神の子どもたちはみな踊る」のなかの一篇であるこの作品に、カット・メンシックさんのイラストが加わって、不思議な気持ちになってくる。
熊のまさきちの世界と、人間が生きる世界は、パイ生地の層のように、微妙な触れ合い方で一つの世界を生み出していた。
3805冊目(今年46冊目)
« 『老いる自分をゆるしてあげる。』 上大岡トメ 26-45-3804 | トップページ | 『結局、自律神経がすべて解決してくれる』 小林弘幸 26-47-3806 »
「日本の作家 ま行」カテゴリの記事
- 『考察する若者たち』 三宅香帆 26-73-3832(2026.03.15)
- 『モトムラタツヒコの読書の絵日記』 モトムラタツヒコ 26/13-71-3830(2026.03.13)
- 『ユリの便箋』 森川成美 26-65-3824(2026.03.07)
- 『決まり・ならわし 暮らしのルール!』 本木洋子 26-51-3810(2026.02.21)
- 『蜂蜜パイ』 村上春樹 26-46-3805(2026.02.16)
« 『老いる自分をゆるしてあげる。』 上大岡トメ 26-45-3804 | トップページ | 『結局、自律神経がすべて解決してくれる』 小林弘幸 26-47-3806 »




コメント