『絶縁病棟』 垣谷美雨 26-49-3808
桐ケ谷キワミは、神田川病院でアルバイト医師として働いています。離婚を3回した彼女は、理屈っぽいタイプで、相手の気持ちに寄り添うのは苦手なタイプです。そんな彼女が、あの「AURORA]と刻印のある不思議な聴診器を使うことになったのです。
第一章 女三界に家なし
男から性的被害を受ける女性の事件は数多くありますけど、被害者が高齢となると、「そんなはずない」「自意識過剰だ」なんて言われてしまうことが多いのは、困ったことです。年齢がいくつであろうと、被害に遭う女性はいるんです。それこそ高齢者施設でも事件は起きているわけで、「年寄りだから」というバイアスがかかった考え方は無しにして欲しいです。
第二章 寄生虫
親は「育ててやったんだから、親孝行だと思って」というし、姉や兄だって「お金を貸して」というし、稼ぎが良い人がいると、家族がそこにたかりに来るという構造は昔からあります。でも、それが当たり前だと思い込まされているから逃れられないんです。
第三章 思いやり家族
夫の両親に家を建ててもらい、家事もほとんどやってもらい、何の不自由もないと周りから思われているのに、ひどい肩こりに苦しむ若妻。
女性医師でないと受診したくないと強く要求する70代の女性。理由不明の眩暈に苦しむネイルサロン経営者。結婚してから肩こりを感じるようになった29歳の女性。
あの聴診器から聞こえてくる患者の心の声は、どれも驚くべきことでした。
ストーカーとか、毒親とかというのは、ある意味わかりやすい人たちです。それに対して、第三章の家族は一見、理想的な家族に見えてしまう所が怖いですねぇ。最後の方でわかったんですが、結婚前に、一番肝心なことを教えてもらえていなかったという所が怖いです。
どんな病気なのか見つけて欲しいと願って、患者さんは病院へ行くのですけど、実は心の病気だったというのは、よくある話です。そうなってしまうのは、嫌なことを我慢しているからです。嫌なことをしてくる相手に対して遠慮があるとか、弱みがあるとか、「わたしだけが我慢すればいいから」なんて言っていても、身体は正直に反応して、具合が悪くなるんです。
そして、「そんなこと時間が経てば忘れるだろう」って、他人は言いますけど、当事者は一生忘れないんです。それをわからない人が大多数だってことが、当事者にとって辛いところです。
このシリーズの医師が持っている「AURORA]と刻印のある不思議な聴診器、これがいろんなところにあればいいのにね。これを使って誰かに共感してもらうだけでも、症状はずっとよくなるはずですから。
3808冊目(今年49冊目)
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