『いつか王子駅で』 堀江敏幸 26-64-3823
主人公は講師の仕事と翻訳の仕事をしていますが、お金は余りないので、安い部屋を探していました。本をたくさん持っているので、木造ではなく鉄筋コンクリートの物件を不動産屋さんで探してもらったら、元工場という実にありがたい部屋が見つかり、オマケに大家さんの小学生の娘の勉強を見てあげれば、家賃を安くしてくれるというので即決して、今の部屋に引越してきました。
都電に乗ることもあるけど、日常的にはほぼ徒歩生活です。飲みに行くのも、銭湯へ行くのも徒歩圏内。こういうのんびりした感じが昭和の下町ならではですよね。
銭湯で仲良くなった正吉さんは、背中に登り龍の彫り物がある人で、怖い人かと思ったら、湯上りにフルーツ牛乳を飲む、愛すべきおじさんでした。昔話を聞いていくうちに、ウソだかホントだかわからない話に心惹かれていきます。その正吉さんが突然いなくなってしまい、忘れ物のカステラを、どうやって届けようかとウロウロする主人公です。
話の中によく競馬のことが出てくるので、何でかなぁって調べてみたら、この小説は「書斎の競馬」という競馬雑誌に連載されていたのだそうです。競馬には疎いわたしでも知っていたテンポイントが骨折した事故の話が登場して、あの時に競馬馬は足を骨折したら死んじゃうんだと思ったことを思い出しました。
勉強を教えていた女の子が、ご飯を作ってくれたり、一緒にもんじゃ焼きを食べに行ったりして、昔の下町の子どもってこんな感じだったなぁって、ちょっとノスタルジックな気持ちになってしまいました。
3823冊目(今年64冊目)
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