『哀しいカフェのバラード』 カーソン・マッカラーズ 26-69-3828
哀しいカフェのバラード
The Ballad of the Sad Cafe
カーソン・マッカラーズ
Karson McCullers
村上春樹(むらかみ はるき)訳
山本容子(やまもと ようこ)銅版画
新潮社
米国 1951
ひどくうらぶれた町だ。
ここには綿紡績工場と教会と農家しかない。ミス・アミーリアは飼料や嗅ぎ煙草を売る雑貨店を営み、酒の醸造もしていた。彼女はとても大柄で、そこらの男たちよりはるかに力があった。今年30歳になる彼女は、昔、町一番の色男と結婚したけれど、その男を追い出してしまったらしい。それ以来、ずっと一人で働き続けている。
アミーリアの所に、ある日突然、せむしの小男がやって来て、いつの間にか同居してしまいました。そしてなぜかアミーリアは、自分の店を品物を売るだけではなく、酒や料理をふるまうカフェにしてしまったんです。そこには、町の人たちが大勢集まるようになりました。
大女のアミーリアと小男は、とても仲が良さそうでした。町の人たちは何かといえば店を訪れ、町に少しだけ活気が生まれました。
あの男、昔の夫が帰ってくるまでは。
いやぁ、不思議な物語です。ミス・アミーリアも、小男とも、元夫も、決して心を開きません。そして相手のことを理解しようという気持ちもありません。でも、きっと、寂しいんです。そんな自分にしてしまった誰かのことを憎むことを、生きるエネルギーにしていたのかもしれません。
この物語の中で、あえて使っている「せむし」という言葉は、今は差別用語となっています。病名でいえば「脊椎カリエス」結核菌が脊椎の骨を破壊し、骨が潰れることで、背中が極端に曲がるというものです。今では、早期に発見すれば治療できる病気になりましたが、わたしが子どもの頃には、割と珍しくない病気でした。
実家で働いていた縫子さんにも一人いました。当時は赤ちゃんをおんぶして働くお母さんが多かったのですが、彼女は赤ちゃんをおんぶすることができないので、抱いて育てたんだよって話をしてくれました。
3828冊目(今年69冊目)
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