『海苔と卵と朝めし』 向田邦子 26-94-3853
整理整頓が不得意な向田さんは、税金、年金、名刺などのインデックスをつくり、書類の整頓をしようと思ったのですが、半月ほどしか続きませんでした。
そのなかでただひとつ、厳然とそれひとつを誇っているのは「う」という箱であった。
「う」は、上手いものの略である。
この引出しを開けると、さまざまな切り抜きや、栞が入っている。
~中略~
物臭で仕事のためにはメモを取るのもおっくうがるのが、貸本の婦人雑誌で見たいわしの梅煮や大根と豚肉にべっこう煮などというのは、ちゃんと、あとあとまで読める字で、写しを取ってホチキスで束ね入れてある。
この情熱の半分でもいい、仕事に廻したら、すこしはましなものが書けると思うのだが、
とにかく向田さんは、おいしいものが好きなのです。どこかへ行っておいしいものを食べたら、その味を記憶に残そうと必死に努力します。そして、その記憶を元に味を再現してみることに命を賭けていました。
だから、おいしいものについて書く時の向田さんの筆は、ホントに素晴らしいです。おいしくって、うれしくて、しあわせに満ち満ちています。子どもの頃の思い出も、海外旅行の思い出も、みんな、おいしいものにつながっているのです。
この本の中で一番のお気に入りは、「海苔巻きの端っこ」です。端っこは具が多いから好きって、何だか可愛いですよね。カステラの端っこも、伊達巻の端っこもサラミソーセージの端っこも、おいしいですよねぇ。そういう感性が、向田さんの文章を輝かせているのだと思うのです。
ところで、この本の中で数回登場した「和布の油いため」はおいしそうだなぁ。和布を炒め、鰹節と醤油で味付けをしたものなんだけど、こういうのって食べたことがないから、一度作ってみようかなぁ。向田さんがおっしゃるように長袖を着て。
3853冊目(今年94冊目)
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