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『数学者に「終活」という解はない』 秋山仁 26-98-3857

Suugakushani

数学者に「終活」という解はない

秋山仁(あきやま じん)

講談社α新書

 担当編集者さんが「数学者の終活」という仮タイトルを提示してきたのに対して、「終活なんてクソくらえ」にしてくれと頼んだという秋山先生です。編集会議で「このタイトルは秋山らしいが、読者が引いてしまうかもしれない」という意見が出され、現在のタイトルにになったという文章(あとがきに代えて)を読んで、クククと笑ってしまいました。

 

 秋山先生は、頭脳明晰な方ですが、自分がやりたいと思うことしかやらない(やれない)方です。でも、決して自分の力だけでこれまで生きてこられてたとは思っていません。自分に影響を与えてくれたり、これまで知らなかった世界を見せてくれた方々に感謝することを忘れていません。無理難題を吹っ掛けられても、「どうしたら出来るのか?」を常に考えてきたからこそ、幸運の女神は微笑んでくれたのだと思います。

 アメリカへの留学も、自分が尊敬するミシガン大学のハラリ―教授へ手紙を書いたところ、OKをもらい、飛行機に飛び乗り、空港に到着したら教授が迎えに来てくれていたそうです。どんな人間かは分からないけれど、この男(秋山先生)の熱意を受け止めてくれた教授は、毎日課題を出し、論文を毎日書けと指示しました。初めての論文発表の時には、「とにかく大きな声でゆっくり話せ、そうすればお前の下手な英語でも相手に通じる」とアドバイスをくれたそうです。

 

 この本には、秋山先生が好きな言葉が数多く挙げられているのですが、いずれもスゴイ言葉ばかりです。

親(大人)のもつ教育観は、彼らの幸福観に他ならない。教育が貧しくなったのは、親(大人)の幸福観が貧しくなったからだ。(遠藤周作)

本気でじっくり見てみると、あっという間にできてしまったように見えることのほとんどが、実はすごく時間を掛けて成し遂げられたことだとわかるだろう(スティーブ・ジョブズ)

 日本へ帰って来てから、研究だけでは生活できないので予備校の講師をしたり、様々な仕事をされていますが、そのどれもが一見「当たって砕けろ」に見えているけれど、実は周到な準備を重ねていることを知って、すごいなと思いました。そして、本業とは関係ないように見えることもすべてつながっており、それが人生の素晴らしさだと感じているのもステキです。

 「人との縁を大事にすること」を教えてくれたのは大島渚監督だそうです。様々な方からの教えを忘れずに生きている秋山先生の真面目さを感じます。

 

人生は夢を持ち、前へ歩き続ける限り、余生はいらない(伊能忠敬)

 そのとおり、余生とか、終活とかというのは、やることがなくなった時に考えることなのですよね!

3857冊目(今年98冊目)

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