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『半分の半分の半分』 チョン・ウニョン 26-114-3873

Hanbunno

半分の半分の半分

チョン・ウニョン(千雲寧)

米津篤八(よねづ とくや)訳

講談社

韓国 2022

NetGalleyJP

 韓国の女性たちは、様々な差別を受けてきました。生まれたときから男ではないということで軽く扱われ、上の学校へ行くことも許されず、とにかく嫁に行け、そこにしか生きる道はないと教えられてきました。夫が真面目に働いていてくれれば、まだいいほうでした。戦争で死んでしまったり、失業したり、アルコール中毒になったり、暴力をふるったりする男が大勢いました。おのずと、家族を養っていくのは女の仕事になっていました。そこから逃げることは許されなかったのですから。

 家族とともに外国へ移り住んだ女性も大勢いました。そこで韓国コミュニティを作り生きてきました。でも、祖国へ帰りたいという気持ちを忘れたことはありませんでした。

 

この9篇が収められています。

・私たちは私たちの味方となって
・父親になっておやり
・半分の半分の半分
・雲丹(うに)
・ミョンジャさんに似て
・私のやさしい乳首
・春の夜
・他の顔
・禁煙キャンプ

 「禁煙キャンプ」の登場人物たちは、家族から頑固な人としか見られていないようだけど、そうなったのには理由があったのです。長年の喫煙は、ずっと耐え続けて来た苦しい生活の、せめてもの慰めだったと気がつく人たちが描かれています。

 

この小説集の中で、何度か登場して最も目立つ存在は、キ・ギョルヒンさんとミョンジャさんの二人の女性だ。それぞれ作家の祖母と母の実名だという。

~中略~

ミョンジャという名を漢字で表記すると「明子」となる。韓国では1940年代から1960年代にかけて、日本植民統治の名残りから女性の名前に日本式の「子」が付けられることが多かった。「順子 スンジャ」「慶子 キョンジャ」「英子 ヨンジャ」「美子 ミジャ」なども、当時の典型的な女性の名前である。(訳者あとがき より)

 つまり、名前だけでその人がどの時代に生まれた人なのかがわかるのです。祖母の時代の名前は韓国の名前なのに、母の時代は日本の影響を受けた名前だから。

 男尊女卑が当たり前の世界にいると、しょうがないという諦めの気持ちしか生まれないのですが、その構造が分かってくると、考え方が変わってきます。親は「結婚して養ってもらえばいいんだ」と言うけれど、周りを見回してみれば、養ってくれない男が大勢いるということもわかります。だったら、自分で自分を養っていくしかない。

 現在、世界一の少子化が進む韓国。女性を大事にしてこなかった、これまでの歴史がそうさせているのでしょう。でも、これは対岸の火事ではありません。日本だって同じなのですから。

#半分の半分の半分 #NetGalleyJP

3873冊目(今年114冊目)

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