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『戦争とバスタオル』 安田浩一、金井真紀 26-100-3859

Sensoutobasutaoru

戦争とバスタオル

安田浩一(やすだ こういち)

金井真紀(かない まき)

亜紀書房

 最初、安田さんと金井さんは、世界中のお風呂巡りをしようと計画していました。ところが、お風呂にまつわる話を聞いているうちに、どこへいっても戦争の話が出てくるのです。いつのまにか、のんびりしたお風呂旅ではなく、日本軍が外国でいかに酷いことをしてきたのか、日本国内でも、普通の人たちを巻き添えにしてとんでもない事をしていたのかを確認する旅になってしまったのです。

 

第一章 ジャングル風呂と旧泰緬鉄道(タイ)
 映画「戦場にかける橋」の舞台となった地に、すばらしい温泉(ヒンダット温泉)がありました。泰緬(たいめん)鉄道建設は、多くの捕虜や労務者たちを使って工事を進めました。しかし、食糧不足による栄養失調、コレラやマラリアによって、動員された労働者の約半数がなくなったそうです。ですから、今ではこの鉄道は「死の鉄道」とも呼ばれているそうです。

第二章 日本最南端の「ユーフルヤー」(沖縄)
 沖縄に残っている銭湯(ユーフルヤー)はたった一軒。ここで聞いた話の中には、戦後に日本(内地)に無視された歴史が色濃く残っています。
 その中には、コザ十字路から北は白人街、南は黒人街と区別されていたのは、MP司令官による一種の人種隔離政策だったという恐ろしい話までありました。

第三章 沐浴湯とアカスリ、ふたつの国を生きた人(韓国)
 韓国と言えばアカスリですが、釜山の人がイタリアの布をアカスリに使ったのが最初なので「イテリ」と呼ぶそうです。イテリとは、国名「イタリア」の韓国風の呼び方なんですって。日本に占領されていたころに教育を受けて育った人、結婚して韓国で暮らすようになった日本人妻、韓国と日本の関係は、実に複雑です。

第四章 引揚者たちの銭湯と秘密の工場(寒川)
 神奈川県高座郡寒川町は、戦後多くの引揚者を受け入れた町です。引揚者住宅には風呂がなく、町議会に銭湯を作って欲しいという嘆願が上がり、「すずらん湯」ができたそうです。ここから、もっと昔の話になります。引揚者住宅は、かつては相模海軍工廠の従業員寮でした。この工廠では、戦時中に毒ガスを作っていたのです。この毒ガス工場で働いていた人が大勢、亡くなったり、病気になりました。

第五章 「うさぎの島」の毒ガス兵器(大久野島)
 今は「うさぎの島」として有名になった大久野島は、戦時中には地図に載っていませんでした。なぜなら、ここで毒ガスを作っていたからです。ここでも工場の人が大勢犠牲になりました。そして、中国で実際に毒ガスが使用されました。大陸から引き上げる時に、軍は毒ガスを使っていたことを知られないように隠したのですが、戦後、それを知らずに開けてしまった人たちが被害に遭っています。

 戦後、アメリカが行った毒ガスの処理もいい加減なもので、ドラム缶ごと海へ投棄したりしていて、それによる被害も出ています。

 

 タイの露天風呂、沖縄の銭湯では、湯舟と脱衣所の壁がないとか、韓国アカスリのタオルの名前が「イテリ」であるとか、韓国でのカラオケの話など、お風呂の話は楽しいのだけれど、それだけでは済まない歴史をたくさん学びました。軍隊が悪いと言ってしまえばそれきりだけど、そもそも日本の「臭いものにはフタ」なところが、あそこにも、ここにも登場します。そして、そういう発想が、いまだに続いているのも確かだしね。安田さんと金井さんは、複雑な気持ちを持ちつつも、それぞれの場所で当時の話を聞いていきます。今聞いておかないと、もうすぐ聞けなくなってしまう話だから。

 最後にインタビューした安田さんが、金井さんの本の新聞広告を切り抜いてくれていて、「新聞を見ていたらね、これ見つけたの」という所から、お話を伺えてよかったなぁと思いました。

関連書籍
・「うさぎのしま」近藤えり、たてのひろし

3859冊目(今年100冊目)

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