『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』 汐見夏衛 26-106-3865
中学2年の涼は転校してきた学校で、百合と出会います。同い年なのに何だか大人っぽくて、普段は無口なのに、いざとなるとハッキリとモノを言う彼女に、どこかで会ったことがあるような気がしました。そうだ、夢によく出てくる髪の長い人だと気づいたのは、しばらくしてからでした。
涼はサッカーが大好きで、新しい学校でもサッカー部へ入りました。でも、以前よりもサッカーをする時間が減っていて、このままでは「サッカー選手になる」という自分の夢から、どんどん遠ざかっているような気がして、焦る気持ちが増していました。
親からサッカーより勉強と言われて、言い返す言葉が見つからない涼に、百合はこう言ってくれたんです。
「夢が見れるのって、将来の夢があるのって、すごく幸せなことだよね」
夢を見る自由と平和がある今なのに、どうして、そんなにも簡単に夢を諦めるの? と言われた涼は、ハッとしました。
百合の話を聞くうちに、涼は自分が彰さんの生まれ変わりなのかもしれないと気づき、嬉しい気持ちと、でも彰さんには敵わないという気持ちに挟まれて、身動きができなくなってしまいます。
涼のように、親の意向を無視するのが難しいと感じている子が、世の中にはどれだけいるのでしょうね。そもそも、そこに疑問を持つことすらない子だっているのかもしれません。でも、そうやって、一生レールに乗っかっていられるわけではありません。たまたま上手くいったとしても、歳をとってから、あの時捨てた夢のことを悔やむのかもしれないし、その責任を親にぶつけたってしょうがないし。
涼と百合は、きっと自分で選んだ道を、ふたり並んで歩んで行くのでしょう。それができる自由な時代に生まれたのですから。
3865冊目(今年106冊目)
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