『恋愛論』 坂口安吾、しきみ 26-151-3910
キリシタンが初めて日本に渡来したころ、愛という語で非常に苦労したそうです。愛するとは好きだという事で、それが不義であっても愛は成立します。でも、武士道では不義はご法度であるから、愛という言葉をそのまま使うのがはばかられたというのです。
この訳語に困惑したので、苦心の挙句に発明したのが、大切という言葉だ。すなわち「神のご大切」「キリシトのご大切」と称し、余は汝を愛すというのを、余は汝を大切に思う、と訳したのである。
愛するという事は理屈ではないのだから、身勝手な愛や、一方的な愛もあって、それを自分の胸の内にしまっておける人が大多数だけど、そうでない人もいます。自分が好きな人から一方的に避けられて、「仕方ないのでストーカーになりました」とか、「自分の愛をわかってもらえないので殺しました」なんて輩が毎日ニュースに登場しています。
愛し合っているふたりでも、時には諍いがあります。自分のことを一番に考えて欲しいとか、逆に、そんなに構わないでとか、ふたりの気持ちがいつでもピッタリ合うなんてことはないし、そのズレを何とかしようと思うからこそ、いろんな形での諍いが生まれるのです。
恋愛とは、すばらしいものであると同時に、危険なものでもあるのです。
坂口安吾の文章だけだったら、硬い感じになってしまったかもしれないけど、しきみさんの絵と一緒になると、なんだかスゥっと言葉が心に入って来ます。
恋愛は人間永遠の問題だ。人間ある限り、その人生のおそらく最も主要なるものが恋愛なのだろうと私は思う。
ああ、その通りです。安吾さん。恋愛という煩悩が人間を生かしているのだと、わたしも信じています。
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