『翻訳する女たち』 大橋由香子 26-146-3905
出版業界自体が男社会でした。出版社によっては、「うちの会社では女性の翻訳家は二人まで」なんて、わけのわからないことを言う所もあったり、ジャンルによっては女性には無理でしょうみたいな考え方をする人もいました。でも、彼女たち(中村妙子、深町眞理子、小尾芙佐、松岡享子)は、実力で自分の居場所を作ってきたのです。
子どもの頃から翻訳物のミステリーやSFを読んできたわたしにとって、彼女たちは「恩人」です。どんなに素晴らしい作品があったって、翻訳してもらえなかったら、読むことができなかったのですから。
彼女たちが女学校へ通っていたのは、第二次世界大戦の時代です。授業の中に「英語」の時間はあっても、敵国語だから勉強をすることができなかったり、学徒動員で授業すら受けられなかった時代なのです。
隠れて英語の勉強を続けた人もいるし、戦後になってから勉強し始めた人もいます。とはいっても、当時の女性が勉強を続けるということはとても大変だったはずです。「女に教育はいらない」なんて思っている父親が普通の時代でしたから。
戦後すぐに訳したものを、何十年かを経て見直すこともあります。昔は分からなかったことが分かるようになったり、時代と共に言葉自体が変わっているという事もあります。言葉を伝えるための翻訳だから、そういうこともきちんと直していかなければならないという使命感と、でも、当時の気分を残したいという2つの思いの狭間で悩むこともあったでしょう。
翻訳する彼女たちは、常に言葉をどう伝えるかを考え続けてきました。そのおかげで読めた本の数々のことを思い、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
3905冊目(今年146冊目)
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