『残穢』 小野不由美 26-133-3892
作家である「私」に久保さんという読者から1通の手紙が届きました。その手紙には「今住んでいる部屋で、奇妙な"音"がするんです」と書かれていました。
なぜか入居者がすぐに引越してしまうマンションのとある部屋、その部屋に入居しようとした人は、こんなに好条件なのに家賃が安いのは何故だろうと思いました。でも、値段に負けて入居を決めました。
不動産屋さんに聞いても「事故物件ではありません」と言うのだけど、変な音が聴こえたり、不思議な黒い影が見えたりして、「何かがいる」と感じます。おまけに、この部屋だけでなく他の部屋でも同じようなことがあって、そのマンションが建つ土地に何かがいそうな気がしてきます。
このマンションが建つ前、ここに住んでいた人を調べていくには、近所の人たちへの聞き込み調査が大事なのですが、昔のことを調べるには、ずっとこの地に住んでいた人を探すことが必要です。とはいっても、戦後の新興住宅地であるこの辺りは、人の出入りが激しすぎて、なかなか情報を集めることができません。
古くからこの土地に住む人々と、あとから流入してきた新住民の間にはある種の断絶があったようだ。自治会は存在していても、これは基本的に旧住民のもので、新住民はそこに参加したところで「お客さん」扱いを免れない。土地の祭祀や習慣など、新住民には分からないことも多く、対等に口出しすることは難しかった。その代り、面倒な役員などは免除され、煩く干渉もされない、という関係が形成されていたようだ。
我が家のご近所でも同じようなことを感じています。昔から住んでいた住民と、新しくできたマンションの住民とは接点がないのです。せいぜい小学校や中学校の同級生やPTAくらいしか関連がないのが普通です。ですからサラリーマンをしていた男性は、まったくその輪からは外れていて、定年後になって、ご近所に知っている人がほとんどいないということに気づくのです。
そんな状況ですから、町会なんて崩壊するのは当り前だし、町の歴史を知る人がどんどんいなくなってしまいます。つまり、その土地で昔どんなことが起きたのか知らずに住んでいる人ばかりになるのです。
マンションなどの「事故物件」というのが最近話題になることが増えました。告知義務は「賃貸では発生からおおむね3年、売買は期限なしで原則必須」なのだそうですが、必ずしも守っていない場合もあるので、過去の不都合な事件が封印されてしまうことが結構あるのでしょうね。
昨年、家の近所のアパートで孤独死した方がいました。亡くなってからかなり時間経過があって、異臭騒ぎで発見されました。この方は元気な方でしたが、心臓発作などの急病で亡くなったらしいのです。普段から通院しているような方なら、もっと発見が早かったのにと町会の方がおっしゃってました。つまり、世間との関りがあるかないかが、事故になるかどうかの分かれ道という事なのでしょうね。
「鬼談百景」を先に読んでからという読友さんのお勧めで、そちらを先に読んでいたのですが、短い文章が続くため、ちょっと息切れしてしまって「残穢」を読み始めたのですが、「鬼談百景」で読んだばかりの「ぶらんこ」の話がいきなり出てきて、「おお、これか~!」と思いました。
「残穢」とは「残り続ける穢れ」を意味する言葉なのだそうです。謎を調べていくうちに、どんどん意外な事実がわかってきて、そんな遠くで昔起きたことが、現代にまで影響を及ぼしているのかと思うと、ホント、怖いですねぇ(ブルブル)
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