『君が戦争を欲しないならば』 高畑勲 26-160-3919
1945年6月29日未明の岡山空襲は、その時10歳だった高畑さんにとって人生で最大の出来事だとおっしゃっています。夜寝ている時に家の近くに爆弾が落ち、お姉さんと共に必死に逃げました。
米軍の爆弾の落とし方は、町の周辺部へまず落とし、人々が町の中心へ向かったところで、そこへ爆弾を落とすという、余りにも残虐な手順だったと、後でわかったのだそうです。
当時の日本では、爆弾が落ちて火災が起きたらそれを消火することが第一だと教えられていました。そして、逃げることができない時には防空壕へ避難するということが教えられていました。でも実際には、消火しても、また次の爆弾が落ちてきて、消火しきれませんでした。そして、爆発する爆弾に対しては防空壕の意味はありますが、焼夷弾という火をつける爆弾の場合、かえって危険で、防空壕で蒸し焼きになって亡くなった方が大勢いたそうです。つまり、人命が優先されていなかったのです。
高畑さんのお父さんは校長先生で、空襲時には学校に飾られている天皇の御真影を守ることが第一と指示されていたそうです。生徒や教師の人命より、そちらが優先されていたとは酷い話ですが、当時はそれが当然と考えられていたのです。
こういう話を昔のことと思ってしまってはいけないと、高畑さんは注意を喚起しています。「上から命令されたから」「そういう決まりだから」というような思考停止によって、どれだけ危険なことが起きるのかに気づかない思考停止になってはいけないのです。
この文章は、第二次安倍政権の頃に書かれたものですが、高畑さんが感じた日本の危うさは今も変わっていません。「国民一丸となって」「みんな仲良く」というような、一見美しい言葉に騙されてはいけない。常に、これは正しいことなのか? そうではないのか? と考え続けなければいけないと高畑さんはおっしゃっています。
今も戦争があちらこちらで起きています。日本もそこに巻き込まれるかもしれないという危機感を持ち続けることが大事だと、高畑さんは訴え続けています。わたしたちは、戦争が他人事ではない時代に生きているのですから。
3919冊目(今年160冊目)
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