『JR品川駅高輪口』 柳美里 26-179-3938
百音(もね)は高校1年生。クラスの中で仲良し5人組に属してはいるけれど、その中で一番はしっこにいる。リーダーの子に言われたことは、ほぼ命令、どこかへ行こうって言われても、何食べようって言われても、さも嬉しそうな顔してついて行くしかない。そういうのヤダなぁって思うこともあるけど、友達が誰もいなくて、お昼にボッチでお弁当食べるのは嫌だから、断ることができない。
家に帰っても、本当に気が休まるのは自分の部屋に入ったときだけ、母親は福島の原発事故の後、わけが分からないくらい神経質になっちゃってる。それに、弟がもうすぐ高校受験なので、そっちに全力投球していて、休みの日なんか弟と2人で学校見学行ってるし、普段の日は弟が通う塾へ夕ご飯のお弁当を暖かいまま届けてる。
父親と自分は、母親にとっては眼中にないみたいで、ごはんは用意してくれるけど、話は最低限だけ。
結局ね、誰ともホントのことを話せないの。だってみんな、わたしの言うことなんか聞こうとしてくれないんだもの。だからネットの自殺サイトにカキコしてみたの。そこの人たちは、1人で死ぬのは嫌だから、一緒に死んでくれる人を探してるの。わたしもそこに参加しようかと思ってる。
電車に乗ってると、「次は○○駅、ご乗車ありがとうごさいました。」みたいな車内放送が聴こえてくる。隣でしゃべっている人たちの声が聞こえてくる。いろんな音が自分を囲んでいるんだけど、「いつも、わたしはひとり」なの、だから生きていてもしょうがないっていう気持ちになってる。
最近話題になってる、若い子たちが何でもチャッピーに相談するって話、この本を読んでると、そういう気持ちが分かるような気がしてくる。だって、相談できる相手がいないんだもの。
どこへ行っても、作り笑いして、話を合わせて、そんな毎日は嫌だよねぇ。百音にとって、自分が自分らしくいられる場所がないのが悲しいなぁ。弟もお母さんの異常な感じをわかってるみたいで百音に相談してきたんだし、両親とちゃんと話をした方がよさそうだよね。死ぬより、そっちが先だよ。
3938冊目(今年179冊目)
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