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『おどろきの刑事司法 “犯罪者”の作り方』 村木厚子 26-173-3932

Odorokinokeijisihou

おどろきの刑事司法

“犯罪者”の作り方

村木厚子(むらき あつこ)

講談社現代新書2805

「有罪率99.9%」は、先進国の中では異常なまでの高率です。以前は、検察の優秀さを示す数字であるかのように言われてきましたが、本来なら無罪となるべき事件や、そもそも無実の人たちが、かなりの数、有罪になっていることが指摘されています。
警察、検察、裁判所に対する国民の信頼度は高いと思いますから、皆さんは、「まさか、何もやっていない自分が犯罪者にされるはずはない」と信じているでしょう。
私も、かつてはそうでした。それだけに、検察の強引な取調べ、身に覚えのない罪でも、否認を続けると長期間にわたり拘置所に閉じ込められる「人質司法」、証拠開示になかなか応じようとしない検察の姿勢、あってはならない証拠の改竄という事実に、愕然とさせられたのです。
「はじめに」より

 この本の著者である村木厚子さんは、厚生労働省の雇用均等・児童家庭局の局長だった時に、全く身に覚えがないことで検察の取り調べを受け、164日も勾留されました。彼女の著書「あきらめない」の中で、いかに高圧的に検察が被疑者を追い詰めていくのかを書いていて、普通の人だったらその恐怖の余り、ありもしないことを自白してしまうこともあるだろうとおっしゃっています。

 最近になってやっと増えてきた「再審」が、これまではどうして行われなかったのかを、「袴田事件」などを例にとって語られています。ありもしない証拠が捏造されるとか、検察側が用意したストーリーに沿った供述を強要されるとか、とんでもない事が密室の中で行われているのです。

 「大河原化工機事件」では、被疑者がガンと診断されても裁判所が保釈請求を却下し続けたのは、どう考えてもおかしい判断でした。最終的にこの事件は、社長らに有罪と認められる嫌疑があると判断した検察官の判断は合理的な根拠を欠いていおり、この事件は冤罪だったと確定しました。でも、亡くなった方は帰ってきません。

 

 2026年6月、衆院法務委員会で再審法改正案が可決し、検察官抗告は原則禁止へ進むことになりました。これまでの再審法では、「検察官による抗告で裁判が長期化する」、「検察が証拠を開示する義務がない」などの課題が浮き彫りになっていました。今回の見直しで、「検察官が保管する証拠の一覧表の開示」「証拠の目的外使用の禁止規定を法の施行後5年ごとに見直しの対象にする」「裁判所が検察官に証拠の提出・開示を勧告できる」との内容が付則に盛り込まれました。

 

 「推定無罪」つまり、「有罪判決が確定するまでは罪を犯していない人として扱わなければならない」という、当たり前のことがこれまで行われてこなかったという事が、この本の中でこれでもかというくらい語られています。容疑者として拘置所に入れられてしまったら、こういうことが起きるのだということは、ただただ恐怖でしかありません。

 

 ほとんどの検察官、裁判官はまっとうな方でしょうが、一部の人が行ってしまった「怪しいと思った人間は必ず有罪にする」という行いは、戦前の特高と同じです。 どうして、そういう考え方をするようになってしまうのか? そこには、「失敗を恐れる」という気持ちが潜んでいるような気がします。でも被疑者の人生を、そんなことで決められてはたまったものではありません。

 何のために検察官や裁判官が存在するのかを、きちんと思い出して欲しいと思います。そして、「間違えたら、謝る」という人間として当たり前のことをして欲しいと思うのです。

 

 この本は、この4名の執筆協力者と共に書かれたものです。
・神津里季生(連合元会長)
・松木和道(元三菱商事法務部長)
・周防正行(映画監督)
・安岡崇志(日本経済新聞論説委員)

3932冊目(今年173冊目)

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