『どっちの勝ち?』 トニ・モリスン、スレイド・モリスン 26-171-3930
どっちの勝ち?
Who’s Got Game ?
トニ・モリスン
Toni Morrison
スレイド・モリスン
Slade Morrison
パスカル・ルメートル 絵
Pascal Lemaître
鵜殿えりか(うどの えりか)訳
小泉泉(こいずみ いずみ)訳
みすず書房
この本には、「青い眼がほしい」のトニ・モリソンが息子スレイドと共に書いた、「アリとキリギリス」「ライオンとネズミ」「おじいちゃんとヘビ」という、イソップ童話を元にした3つの物語が収められています。
・アリとキリギリス
夏の間はアリとキリギリスは仲良しでした。キリギリスが奏でる音楽をアリも楽しんでいました。秋になって、アリは冬のための準備を始めなければならないと立ち去っていきます。
冬になって食べ物がなくなったキリギリスは、アリに助けを求めます。でもアリは、「だから備えておけと言ったじゃないか、君がそうなったのは自業自得さ」という態度を取ります。
・ライオンとネズミ
いつも威張っていたライオンは、足にとげが刺さって痛くてたまらないけど、自分で抜くことができません。まわりの動物たちにいくら声を掛けても、誰も助けれくれません。最後に、小さなネズミに助けてとお願いしたら、ネズミがとげを抜いてくれました。そして、そのネズミは思ったのです。自分は大きなライオンを助けることができるくらい偉大な存在なのだと。
・おじいちゃんとヘビ
おじいちゃんはヘビをトラックでひいてしまいました。ヘビは助けてくれと言ってます。おじいちゃんは悩みます。ヘビを助けるのは簡単だけど、自分が嚙まれるのは嫌だなぁって。
イソップ童話の「アリとキリギリス」では、コツコツ頑張ったアリの勝ちでお話が終わるのですが、この本では、キリギリスは反論します。 「みんな、僕の音楽を楽しんだじゃないか。君だって僕の歌を口ずさんでいるじゃないか。なのに、今困っている僕に、自己責任だって責めるのかい?」ってね。
「ライオンとネズミ」のライオンは、どこかの国の独裁者みたいな態度をとっていたのに、ネズミに恩を着せられると、言うなりになってしまいました。そうかあのライオンは、「弱虫なのに虚勢を張っていただけ」なのだと気づかせてくれます。世界では、その程度の奴に騙されている人たちが大勢います。それは何故なのでしょうね。
物事にはたいてい「あちらの言い分」と「こちらの言い分」があって、それが元で喧嘩になったり、それが拡大して戦争になったりしています。双方が納得するのは、なかなか難しいものです。
最近のニュースを見ていると、「双方の意見の相違」が元で殺人事件や紛争が起きていることが多くて驚いています。きっかけは小さなことであっても、一方的に恨みを連ねてしまったり、我慢の限界を越してしまったりするのは、いつの世でも変わらないことなのでしょうが、余りに短絡的な事件が多いのは、ちょっと待てと言ってくれる人がいない、孤独な弱虫が増えているからかもしれないと思えてきました。
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