『献灯使』 多和田葉子 26-187-3946
義郎は東京の「西域」で、身体が弱い曾孫の無名と2人で仮設住宅で暮らしています。この世界では、東京の23区全体が「長く住んでいると複合的な危険にさらされる地域」に指定されており、義郎たちのように東京に残っているのはごく少数です。外の国からも忌み嫌われるような状況のようで、鎖国状態になっています。多くの人は外国である九州や沖縄へと移り住んでいます。
そのよく分からない災いのせいで、老人は死ななくなり、逆に幼い子供たちは歩く体力もありません。100歳を超えた義郎は、曾孫の無名のために毎朝オレンジジュースを作り、無名はそのジュースを15分もかけて飲むのです。義郎は、この子のために夜なべで服を作り、かいがいしく面倒を見ています。
鎖国になってから、日本はすっかり変わってしまいました。かつては外来語だらけだったのに、今ははどんどん日本語化していて、元の意味がわからないくらいに、言葉が変わってしまいました。そして、江戸時代のような質素な暮らしが、さも素晴らしいことのように評価されているけれど、その嘘臭さを誰もつっこんでこないのです。
「不死の島」の中で被爆という言葉が登場しました。多分その影響で日本は変わってしまい、日本から脱出しようとする人たちが増えたのでしょう。
高齢者ばかりが元気で、子どもたちは病気を持っているのが当たり前だから、あえて検診などしなくなった世界、その先にあるのは絶滅だけ。それを何とかしようと「献灯使」の子どもを外国へ送ろうとしているのですが、それに意味があるのでしょうか?
・献灯使
・韋駄天どこまでも
・不死の島
・彼岸
・動物たちのバベル
今の日本では、みんなが東京を目指すという構図ですけど、それはとても異常な状況です。そんなことがいつまでも続くはずがありません。だから東京が「ポン」とはじけるのは時間の問題です。
そして、「動物たちのバベル」のように、人間だけがいなくなった世界が生まれるのならいいのですが、愚かな人間は動物たちも道連れにしてしまうでしょうね。
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