『骨灰』 冲方丁 26-195-3954
主人公の松永は大手デベロッパーのIR部に勤務しています。渋谷で現在工事中のビルの地下で「火が出た」という報告があり、その調査へやって来たのです。地下へ潜っていくと、図面にはない「祭祀場」があったのです。
地下で鎖につながれた男を発見し、鎖を外したところ、その男は逃げてしまいました。その後、松永の家で不思議なことが置き続けます。白い灰がどこからか降ってきたり、おかしなものが現れたり、松永は少しずつ事の重大さに気づき始めます。もしかして、自分は祟られているのか?
その祭祀場を設営、管理している玉井工務店へ話を聞きに行きます。
ええ、江戸・東京の家事の多さは、世界でも有数だと言われています。加えて震災や戦争までありましたから。まぁ、ともかく、秋葉原は玉井工務店にとって何かと因縁がある町でして
ここで登場した「石垣跡地」、これを見たことがあるのを思い出し、ちょうど用もあったので見に行ってきました。小説では、IT関係のビルと記述されていましたが、実際にはUDXビルです。この場所はかつて青果市場で、その跡地の地下から発見された石垣が、UDXビルのファサードに使われています。
もし故人が見えるようなことがあれば、遺品を手元に置いてください。
ふと気づくと、亡くなった父親が目の前に現れて、「お前は正しい、気にせずに調査を続けろ」と声を掛けていくのです。松永はその声に力づけられ、調査を続けます。
この言葉が印象的でした。故人が親しい人であれば、悪いことをするとは考えにくいのですが、そうでない場合もあるのです。故人が何かをたくらんで、姿を現しているとしたら、遺品を手元に置くことで祓うことができるのだと。
「亀戸水神」や「隅田川神社」など「水神」が江戸の町を守って来たという話は、都内のあちらこちらにあります。でも、渋谷川の源流が新宿御苑だという事は、今回初めて知りました。御苑の湧水が川となり、渋谷の地下を流れているのです。
東京の地下には多くの人の骨が埋まっていて、その怨念を鎮めるための「祭祀場」があるというのは、フィクションだとは言い切れない怖さがあります。だって、大手町の「将門の首塚」を移動しようとするたびに死人が出たなんていう土地ですから。
冷静に調査をしているつもりの松永が、何かに取り憑かれていき、自分は正しいことをしていると思い込んで、ドンドン深みにはまっていくところが怖いですね。最近ニュースで見聞きする怪しい事件のいくつかには、こういうことも含まれているんじゃないかと思えて仕方ありません。
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