『はじまりのスープ、夏ゼリー』 瀬尾まいこ 26-209-3968
わたしの名前は百合と書いて「リリー」と読む。さほどかわいくもないわたしに不似合いで好きではない。
リリーがまだ子どもだった時に両親が離婚して、自分は母と妹の3人で暮らせると思っていたのに、母は妹だけを連れて行って、自分は父と2人暮らしになってしまい、仕事で忙しい父に代わってリリーが料理をするようになりました。最初の頃は「おいしい」と言っていた父も、次第に慣れてしまって何も言わなくなり、夕ご飯の時間に帰ってこないことも増えて、自分は父から期待されていないと感じるようになり、早く家から出たいとばかり思ってました。
リリーは、会社勤めが性に合わないのをよくわかってるから、正社員になって堅実な生活をなんてことは目指してません。幸い、料理の才能はあるようなので、あちらこちらで行われる「料理コンテスト」の賞金稼ぎと単発バイト(ティッシュ配りとか)で何とか生活しています。
大家のばあさんは口が悪いけど、家賃が安いのだけが取り柄のボロアパートで暮らしてます。働くこと自体に余り意味を感じていないので、「家賃が払えなくなるとヤバイからバイトを探す」という感じで生きています。
リリー本人はよくわかってないけど、彼女の料理の才能って、料理自体がどうのこうのというよりも、この状況で食べる人はこう感じるだろうということを考える力があるところのようなんです。料理コンテストだと審査員はたくさんの料理を食べなければならないから、「お腹がもたれないものがいい」とか、高齢者には「一口が小さめのものがいい」とか、細やかな気遣いができるんです。たいていの人はそこに気がつかないのよね。
第一章 はじまりのスープ
第二章 とじないで、親子丼
第三章 ホワイトリリーの小豆シャーベット
第四章 作って食べて、力をぬいて
第五章 夏ゼリー
「はじまりのスープ」の審査員に、あのスープをもう一度食べたいと言われて、あさりを採りに潮干狩りに行ったり、熱中症で具合が悪くなった大家さんに、簡単にできる小豆シャーベットを作ったり、リリーが作る料理はきっと優しい味がするのでしょうね。
最後に登場したゼリーは、リリーの得意技です。「ジュースとゼラチンがあれば簡単にできるもの」ってリリーは言いますけど、そうやって作ってくれる人はなかなかいないのよ。似たようなものはいくらでも売ってるけど、リリーが作るゼリーは思い出の味だったのね。また、作ってね。
やさぐれた人を装っているけど、リリーってとってもいい子なのよ。だから、みんなに優しくしてもらえるんだけど、それに気がつかないところがリリーらしくていいのかな?
#夏ゼリー #NetGalleyJP
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