『乃埋商店街の渦』 草森ゆき 26-201-3960
店長の藤谷保(ふじたにたもつ)と、副店長の中之瀬圭一(なかのせけいいち)は、ふたりで喫茶「うずまき」を経営しています。
この店がある乃埋(のうず)商店街は、関西地方の小さな町にあります。酒屋さん、駄菓子屋さん、お惣菜屋さんなど、それぞれ細々と商売をしてますけど、今の代で終わりかなぁというお店ばかり。
高齢者が多い商店ですから、小さなトラブルが色々と起きます。そんなときに相談に乗るのが「うずまき」のふたりです。ほとんどの人はふたりのことを好意的に見てくれてますけど、酒屋のおやじさんは、ふたりのことを「よそもの」扱いしています。でも、藤谷は、何を言われても上手く受け流しています。
・プロローグ
・第一章 上柳酒店の守り神
・第二章 駄菓子の葛和と枠の中
・第三章 鳳総菜の跡取り
・第四章 菅澤書店の傍観者
・第五章 喫茶うずまきと乃埋の未来
・エピローグ
シャッターが閉まったままになってしまっている店が多い中、新しく参入してくれる人がいるのは、本当は嬉しいことのはずなのに、それを苦々しく思う人って、確かにいるなぁ、こういうタイプ。奥さんから「あんな人で、ごめんなさいね」って言われちゃうくらい、古い考えに取り憑かれていることに気がつかないのは、外の世界を知らないからなのかなぁ。
親子の確執とか、店をどう続けていくとか、個人商店の悩みもいろいろと登場して、商店街を再生する物語かなと思って読みだしたのですが、少しずつミステリーっぽくなってきます。
喫茶「うずまき」のふたりは、妙に仲がいいし、頼まれごとは断らないし、いい人みたいなんですよ。でもね、謎が多いし、ただのいい人ではないらしいんです。特に店長の藤谷は、何か企んでるっぽい。「エピローグ」で明かされる秘密をお楽しみに。
乃埋商店街の「埋」という字は、土などの中に物を隠すこと。「渦」は水がぐるぐるする様を表し「渦に巻き込まれる」というような使い方をします。この2つの「うず」という文字を使ったタイトルは、物語を上手く表現していると思います。
3960冊目(今年201冊目)
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