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『月夜とめがね』 小川未明、げみ 26-202-3961

Tukiyotomegane

月夜とめがね

小川未明(おがわ みめい)

げみ イラスト

乙女の本棚 11

立東舎

 おばあさんは、夜おそくまで針仕事をしていました。歳のせいでしょうか、目がかすんで仕事が進みません。それに、針のめどが良く見えなくて、糸を通すのがかなりたいへんになっていました。

 こんな時間に、窓の外からおばあさんを呼ぶ声がします。耳も遠くなってきたので、空耳かと思ったのですが、どうやら、だれかがいるようです。

 窓を開けてみると、知らない男の人がいて、彼はめがねやでした。

 めがねやに薦められためがねをかけてみると、時計の針も、暦の文字もよくみえます。そして、針のめどもはっきりと見えます。

 

 針仕事をもう少しやって、さあ寝ようとしていたら、また別の声が聞こえてきました。

 今度は若い女の子です。足の指をケガしたので助けて欲しいとやって来たのです。

 最初は普通の女の子だと思っていたけれど、傷をよく見ようとめがねをかけてみると彼女は。

 

 月がきれいな夜には、こんな不思議なことがあるのかもしれません。そして、こんなことが起きたのは、電気のあかりがない時代だったからこそなのでしょうか。

 

 針の穴のことを「めど」(目途)と呼ぶのですね。ここから「目途をつける」という言葉が生まれたのだとか。こういう美しい言葉を残していかなければいけませんね。

3961冊目(今年202冊目)

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