『存在しない女たち 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』 キャロライン・クリアド=ペレス 26-185-3944
存在しない女たち
Incisible Women
男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く
in a World Designed for Men
キャロライン・クリアド=ペレス
Caroline Criado Perez
神崎朗子(かんざき あきこ)訳
河出書房新社
英国 2019
男性は単身で移動する傾向にあるが、女性は買い物の荷物やベビーカーで手がふさがれていたリ、子どもや介護中の高齢の親などをつれていたりして、身軽に行動できない。2015年のロンドン市内の移動に関する調査では、徒歩での最近の移動について、「道路や歩道に対する女性の満足度は、男性よりも有意に低い」ことが分かった。そこから見えてくるのは、女性の方が男性よりも徒歩で移動する回数が多いだけでなく、ベビーカーを押している割合も高いため、歩道の設備不足による影響を受けやすいという現実だ。道幅は狭く、路面はでこぼこで舗装のひび割れもある上に、変な位置に電柱や道路標識がある。P48
男性は自宅から駅までの道しか歩いていないし、大きな荷物を運んでいるわけでもないから、歩道の不備などに気づかないのでしょう。でも、毎日そこを歩く女性はそれに気づきます。これは日本でも全く同じです。
「働いていない女性など、ひとりも存在しない。存在するのは、報酬をもらえずに働く女性だ。」
女性の雇用労働における就労率が増えても、それに応じて男性の無償労働が増えたかと言えば、そうではない。つまり、単に女性の全体的な労働時間が増えたのだ。過去20年間の多くの研究によって、女性の稼ぎが世帯収入に占める割合とは関係なく、無償労働の大半は女性が行っていることが明らかになっている。P87
料理、掃除、洗濯などの家事は無償労働であり、その大半は女性が担っています。男性が育休を取ると言っても、そんなに長い期間ではないし。子どもが熱を出して保育園や学校を休むとなったら、その面倒を見るの女性がほとんど。名もなき家事も数限りなくあり、いつ休めって言うんだ!
薬の治験では、そのほとんどが男性でテストをしています。動物でのテストだってオスのラットばかり。身体の大きさだって違うし、薬に対する耐性だって違うはずなのに、投薬量は男女同じなのは何故なのでしょう?
研究者たちが言う「女性は複雑すぎて計測できない」という言い訳は、もうやめて欲しいです。人類の半分は女性なのです。なのに、男性という半分の人たちの基準だけで世界が作られていくのは、絶対におかしいんです。
オフィスの標準室温は男性を基準に決められており、男性には快適でも、女性たちはブランケットにくるまっている。P152
米軍陸軍士官学校の制服は、女性の入学が許可されてから35年後の2011年に、女性の方が一般的に脚の長さが短いため、膝パットの位置をずらした。そして、おそらく最も画期的なのは、ズボンの股当てを変更したことだ。女性用の制服ではユニバーサルな前部のファスナーの代わりに、女性がズボンを脱がなくても小用を足せるようにしたという。P145
「戦争は女の顔をしていない」で、女性兵士が「男物のパンツを履いて死にたくない」と語っていたのを思い出しました。女性用トイレだけが込み合う問題など、男性の基準で不備なしと思っていても、現実には不都合だらけなのです。
かつて、自動車の衝突安全テストで使われるダミーは、男性サイズのものしかありませんでした。安全性を考慮して女性サイズのダミーが生まれたのは最近のことです。しかも、テストの時には、運転席に男性ダミー、助手席に女性ダミーを置くのが一般的です。そして、研究されているのは主に運転席のダメージのことです。衝突事故が起きた場合、女性の方がより深刻なケガを負うことが多いのに、女性が運転席、男性が助手席あるいは後部座席という調査は行われません。
シートベルトの配置が男性サイズになっているので、女性が装着した場合、安全が担保されません。ベルトが首にかかり頸動脈を圧迫・切断されたことによる死亡事故が多いのです。襟のついていない服を着て車に乗る場合は、タオルを挟むなどの注意が必要です。
わたしは座高が低いので、自動車や新幹線や飛行機などのヘッドレストの位置に頭が届きません。だからクッションを入れるなどの工夫をしないと長時間座り続けることができません。手も小さいのでスマホは小さいのを選んでいます。ピアノは1オクターブまでしか指が届きません。会社の事務机の高さに合わせて椅子を調整すると足が床に付きません。だから、いつも足を乗せる台を置いていました。
この本を読んでいる間ずっと、不機嫌になっていました。女性を無視していることの何と多いことか! 「悪気はないんだよ」って男性は言うかもしれないけど、無視されて粗末に扱われてきた方の身にもなってよ!と叫びたくなってしまいます。
世界経済フォーラムによる「ジェンダー・ギャップ指数2020」において、日本は153か国中121位という過去最低の順位となり、G7で最下位でした。2025年に118位になったけれど、改善というほどではないです。
この世は男性用にできていて、女性には生きづらいことだらけなんです。女性がいなければ子どもは産めないのに「男系男子」だけが尊重される家制度とか、医学部入試における女子差別とか、イヤになってしまうことだらけ!
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