『キッチン常夜灯 満月のキッシュロレーヌ』 長月天音 26-229-3988
高坂あかりさんは「レストラン シリウス」へ就職しました。最初の配属先は池袋店です。店長の鳥羽いつきさんは、前回の「夜ふけのオニオングラタンスープ」に登場した方でしたね。
研修期間は、それなりに上手くやれていたような気がしていたけれど、実際の仕事は同じように行くわけではありません。休憩時間があるとはいえ、一日中立ち仕事で、覚えることがたくさんあって、あかりさんは「仕事って大変なんだ」と実感し、家に帰ってからも、シャワーを浴びて、ばったり倒れるように寝る日々が続きました。
毎日、自分の無力さを感じるようになりました。先輩たちは「そのうちに慣れるから」と言ってくれるけど、そんなの「口だけ」と思ってしまう、あかりさん。
同期の仲間たちと連絡を取っても、みんな同じようにヘトヘトのようです。配属数日後に突然出社しなくなった人がいるという話を聞いて、ますます「大変な所へ来てしまった」と思うようになりました。
「わたしって、こんなに何にもできないんだ。お店の人たちに迷惑をかけてる。こんなことになるなんて、思いもしなかった。」と落ち込む、あかりさんを、いつきさんは、ちゃんと見ていてくれました。そしてある日、キッチン常夜灯へ誘ってくれたんです。
・プロローグ
・新しい季節の始まり 春野菜のテリーヌ
・目覚めのステークアッシュ
・私を満たすサーモンのパイ包み
・満月のキッシュロレーヌ
・奇跡をつないで 私たちのとっておき
・エピローグ
常夜灯は、おいしいものを頂けるのはもちろんですけど、シェフと堤さんとの会話で、心がほぐされていきます。あかりさんにとって、シェフの食に対するこだわりが、とても良い刺激になったようです。好きなことはいくらでも学べるからというシェフの言葉を聞いて、今までよりちょっと元気になった気がします。
それにしても、キッチン常夜灯のお料理はどれもおいしそうですね。その中でも、キッシュ食べたいなぁ!
そして、あかりさんたちが働く「レストラン シリウス」のハンバーグもおいしそうですよねぇ。製菓部がすてきなスイーツを作ってくれるから、今年もステキなフェアを開けそうだし。
飲食業って、他の人が遊んでいる時に働かなければならない仕事だから、それがイヤで辞めてしまう人が多いのも事実です。同期の友達から、「この会社ってブラックじゃない?」と言われて、「仕事は忙しいけど、それでもわたしはこの会社が好き」と思えている自分と、同じような仕事をしていても、人によって受け止め方が違うんだなということはわかる、けど、悲しいとも思うのです。
会社に入って3か月、ようやく試用期間から正雇用になるタイミングです。あかりさんは、この仕事が好きになりつつあります。それはとても幸せなことだと思います。きっと、運を呼ぶ何かを彼女は持っているのでしょう。だから、来年の彼女がどれだけ成長しているのかが、とても楽しみです。
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