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『ラプラスの魔女』 東野圭吾 26-239-3998

Laplace

ラプラスの魔女

東野圭吾(ひがしの けいご)

角川文庫

#角川文庫夏フェア2026

 お金持ちそうな初老の男性と親子ほど年の離れた妻が温泉地へ旅行していました。散歩中に硫化水素を吸ってしまった夫が亡くなりました。最初は保険金目的の妻の犯行かと警察は疑っていたけれど、硫化水素をそんなに都合よく発生させられるわけはないという事実に、これは不運な事故だったということで決着しました。

 そして、別の温泉地で無名の俳優が、これまた屋外で硫化水素を吸って亡くなるという事件が起こります。検証に赴いた化学研究者の青江教授は、事故現場をいくら調べても、致死量の硫化水素がそこに発生した理由がわからず、疑問に感じていました。そして、両方の現場で見かけた若い女性のことが気になっていました。

 

 この本のタイトルの元となっている「ラプラスの悪魔」とは、18世紀にフランスの数学者ピエール=シモン・ラプラスが提唱した「宇宙の全原子の今の状態を完璧に知る知性があれば、未来も過去もすべて完全に予測できる」つまり、人間の選択や行動も、すべて計算で予測できるという事なのですが、本当にそういう能力を持つ人がいたら、その人は何をするのでしょうね?

 

 青江が気になっていた若い女性、円華と、彼女が探している謙人、この2人が持つ孤独感というか、厭世観のようなものが、同じような能力を持つ2人にしかわかり合えないのだろうなと感じます。そして、特別な力を持っているばかりに、普通の世界で生きられなくなってしまった、恩田陸の「常野物語」の人たちのことを思い出してしまいました。

 意識不明だと思っていた謙人の枕元で、父は油断していたのでしょうね。そこで聞いたことが、謙人が失踪した原因だったとはね。

 この物語はミステリーというよりも、人間の身勝手さが巻き起こしたホラーであるような気がします。

 そして、謙人はどこへ行ってしまったのでしょうか。

3998冊目(今年239冊目)

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